夕闇の中に紫煙が消えて行く。
冷たいか背が頬をくすぐり、夜へ向かっている事を知らしめた。

この場所は地上からどれくらい離れているのだろうか?

ここから飛び下りれば、彼女の元へ行けるだろうか?

狂い始めた思考は、ろくな事を弾き出しやしない。
こんな場所から飛び下りれば、身体はペシャンコ。飛び散った肉片は建物へとこびりつき、醜態を晒す。
彼女に見つめられた顔はまっ平らに変形し、彼女を抱き締めた腕はあらぬ方向へと曲がる。

色男はグシャグシャの腐った肉片へと変わってしまう。
それでも良いかと時折病んだ自分が耳元で囁いて、自分を狂わす。

『ヨージくん?どうしたの?』

「別に?何でもねえよ…つーかミッション中に名前で呼ぶな!何のためのコードネームだよ!」

『ごめん、ごめん。じゃあ、サイベリアン』

「それじゃあケンだっつーの!!」

現実が引き止めて、夜へ飛び込むのを止める。
他愛ない会話がかえって胸を刺して、眩暈さえ起こす。

一体何回繰り返せば、彼女の元へ行けるだろうか?






マガより再掲の小ネタ。ヨージさんハピバなのにこんなネタ。お題「摩天楼」より。「LI-Bi-Do」の最初の歌詞が「摩天楼」だから「摩天楼」。
ヨージさんへちょへちょしてなきゃ色男なのにね。

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