Wパロ。

2007年8月11日 ネタ
※「コードギアス ●逆のルルーシュ」23話「せめて哀しみとともに」Wパロディです。そちらをしらないと全く意味が通じないと思います。
※血等の描写があります。ご了承ください。









――――契約しただろう?わたしはきみのそばにいると…。



『たぶん…好きでしたよ…っ』
それは心の中で呟いた無力な言葉だった。
彼はただ大切なものを守りたかっただけなのだ。大切なものを守るためだけに平和を欲した。
誰かが傷つくのは許せない――そんな偽善的な考えではなかった。
ただの、一個人の感情的な我侭だ。
今まで己を律して、周りの理想を背負ってきたのだからこれくらいの我侭は許されるべきだと彼は笑った。
みんな大事なのだ、と。
シンや彼の周りにいるものだけではない、その中にはパンドラすらも含まれていた。
彼は大切なものを守るために全てを捨てた。約束された未来も、地位に見合うだけの権力も全て捨て去り、投げ打って。
ただ、守るためだけに。

彼を、苦手だと思っていた。
もう汚れきった自分とは正反対の、輝いて見える彼とは決して相容れないと思っていた。
けれど、彼にとってそんな思い込みは瑣末なもので、いとも簡単に取り除いていった。
憧れて、惹かれたのだ―――彼の神聖さに。
今からでも間に合うと言ってくれた。この血に汚れた自分に、手を差し伸べてくれた、その真っ直ぐな眼差しに。

それを全て裏切った。
取り返しなんてつかない。もう戻れない。
力の暴走。それは、彼の言葉のように広がっていった。
この目に見えたのは、血に塗れた彼の姿だった。

まずはひとり。目の前にいた年老いたものをその手にかけた。
彼に従わないものなどいない。彼の「言葉」に従ったもの達は次々に殺めていった。
血に濡れても構わない。それが例え、自身と変わらないものでも、何の躊躇いもなく破壊し尽くしていった。
あっという間に死体は山積になっていった。
望んでいたものとは違う光景に、言葉を失った。
何も言えはしない。自分のたった一言の――ただの戯れでこんな血まみれのものが出来たのだから。
―――大切なものを守るために平和を求めたという彼の口から零れるのは、残酷な言葉。
まるで歌うように、高らかに宣言する。
耳にこびりつく悲鳴。助けてくれ。誰か助けてという叫びは一体誰のものだったのか。
自身が叫んだ言葉を、何故、他人の口から聞こえてくる。
歯の根がかみ合わない。今こそ形勢逆転の時だ。―――何のために?
ふたりで手を取り合おうと決めたばかりではないか。一緒に、平和な時を迎えようと和解したばかりだというのに、何故、頭では彼を効率よく殺す事を考えているのだろう。
助けてくれと縋りつく死にかけたものに恐怖と嫌悪に喉を引きつらせて、思考は回転させていく。
一刻一秒でも早く殺さなければ。

それは彼のためだったのか、自分のためだったのかは、今になっても判断がつかない。




扉を閉めた途端、パンドラは溜息を吐き、他人がいる事を認識した途端手の平で片目を抑えた。
パールは呆れ、つられるように溜息を吐いた。
「わたしにはその力は効かない…わかっているだろう?」
「…そうだったな……」
パールにだけはこの暴走した力は効かない。――裏を返せば、パール以外の誰にでも効くのだ、この力は。
カサンドラを殺したと思ったあの時に―――再契約を果たした時に、そんな事は嫌ほどわかっていたはずなのに、そんな事も失念するくらいパンドラは困惑していた。
パールには、いずれ力が暴走するとわかっていた。パンドラのことだ。彼自身、カサンドラの一件からいずれこうなるだろうとは推測していたはずだ。
それでも、もっと先になると思っていたのだろう。だからこそ、あんな悲劇が起こったのだ。
自信に満ち溢れていた表情は既になく、問えば力なく答えが返ってくるだけだった。
力が暴走した。命令する気がなくとも、目を見て話すだけでそれが命令となる。彼はパンドラの強制を跳ね除けようとしたが―――それは当たり前の事だった。
パンドラの命令は彼にとって許せない事であり、許せない事が当たり前の事だった。だからこそ、罪の意識に苛まれる。
パンドラがした事は、とても許されない事だ。
泣く事も、逃げる事も許されない。

――――これから先、パールが与えた力は彼を死ぬまで孤独にする。


腕でパンドラの頭を抱え込み優しく囁いた。
ただひとりの“共犯者”として。

「契約しただろう?わたしはきみのそばにいると…」


与える力は相手を孤独にする。そうとわかっていながら、パールは彼に力を与えた。――パールの望みを叶える事と引き換えに。
そして、再度契約した。

―――これはただの契約だ。それ以外の何物でもない。











某所で書いたもの……。
義王くんにやる気が見られないのはきっと気のせいです。気のせいってことにしておいてください。
見るべきものは私の駄文じゃなくて、紫苑嬢の美麗イラですじょ。
9月16日某所にて「ルル」パロ無料配布をゲット!(後楽●遊園地で僕と握手!のノリで。)

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