途中まで。

2009年1月6日 ネタ
友だちに送ろうとしていたら、「ペルソナ倶楽部P4」で八十稲羽が思いのほか田舎だったので没になりました。
でももったいないから、途中でもあげちゃう。みたいな。

センセイの名前は堂嶋悠之(どうしま はるの)。
センセイの出身地=東京・横浜。
千里さんの出身地・一条本家=京都。
八十稲羽=千葉あたり。という設定とか、憶測でお読みください。
後ネタバレ。














―――様々な事件が起こった年が明け、新年がやってきた。
クリスマスに一時帰宅を果たした菜々子も、新年だからと、再度一時退院をさせ
てもらった。遼太郎も自宅に戻り、ささやかながら家族で正月を迎えることがで
きる。


「あけましておめでとうございます!」
そう、元気一杯に挨拶する菜々子の姿に、遼太郎の目に薄ら涙が見えた気がした

だが、実際は悠之のが流していたらしく二人に心配される。
また皆でこうやって家で過ごせると思うと嬉しくて涙が出てしまった。そう伝え
ると、菜々子が悠之の手を握る。
嬉しい。また涙が出そうになる自分を叱咤し、悠之は台所に立つ。
まだ身体が本調子ではない遼太郎に留守番を頼み、ジュネスのセールで主婦たち
と戦ってもぎ取った材料で雑煮を作る。お節も、あいにく栗きんとんや黒豆は出
来合いのものだが、煮しめや昆布巻きは自分で作った。
この約半年間で上げた料理の腕を遼太郎に披露するのは初めてかもしれない。準
備している間、遼太郎が忙しかった理由を思いだし、悠之は上を向く。
菜々子にも遼太郎にも不思議がられたが、涙を見せるよりマシだと、悠之は思っ
た。

盛り付け終えた重箱を開いた菜々子の目がキラキラと輝く。
お母さんがいるみたいだねと喜ぶ菜々子の姿に、また涙が出そうになる。これで
は自分は泣き虫だと勘違いされるかもしれない。
菜々子が喜ぶなら、そう思われても本望だった。


「喉をつまらせないよう気をつけるんだぞ」
「わかってるよ、お父さん。菜々子はおじいちゃんじゃないから大丈夫だよ」
「大丈夫だよ、菜々子。餅を小さく切っておいたから」
少々、過保護になってしまった。それは遼太郎も同じようで、お互いに笑ってし
まう。

さあ食べようと、三人で手を合わせる。
お節であれだけ喜ばれたのだから、雑煮でも同様のリアクションが返ってくるも
のだと思い、悠之はワクワクしていた。
―――しかし。

「いただきます」
パカッと椀の蓋があけられる。すると菜々子が不思議そうに首を傾げた。
「…………?」
「どうした?……菜々子」
菜々子の様子に首を傾げると、遼太郎も同じような反応を示していた。
「……う、うん!なんでもないよ!」
そう言って、一口食べる。すると、再び首を傾げた。
「美味しくないか?」
悠之は不安そうに尋ねる。初めて作った雑煮だ。味見はしたし、遼太郎と菜々子
の状態を母に連絡した際にちゃんと作り方を確認した。我ながらうまく作れたと
自画自賛したいくらいなのが、菜々子にはお気に召さないのだろうか。
「悠之、あの」
「美味しいよ!お兄ちゃん!」
遼太郎の言葉を遮るように、菜々子は美味しい美味しいという。
悠之は怪訝な顔をするが、重箱に箸をつけると菜々子の不思議そうな顔は何処か
へ立ち消え、いつもの明るい顔になる。
その様子にホッとし、悠之も重箱に箸を運んだ。



そのまま時間が過ぎ、夕方近くになった。さすがに晩御飯までお節と雑煮にでは
いかないと、悠之は台所に立つ。
お節も良いけどカレーもねというコマーシャル通り、今晩はカレーにしようと、
悠之はニンジンに手をかける。あまり使いすぎると翌日の雑煮の分が足りなくな
るため、注意が必要だ。つい調子に乗って全部使いきることのないように、半分
に切って必要の分以外をよけておく。
あまり辛いカレーでは胃が驚くだろうから、野菜の甘味でどうにかしようかと考
え、おろし金を出そうと振り返ると、すぐそばに菜々子がいた。
「お兄ちゃん。またお雑煮作るの?」
「いや……晩御飯はカレーにしよう………菜々子、どうした?」
「ううん、ニンジン持ってたから」
「ああ」
質問の意図に納得し、まな板に視線をやる。菜々子もすぐにテレビの方へ足を向
けるかと思ったが、悠之の視界の端には彼女の姿が映っていた。
「菜々子?」
「………お兄ちゃん、聞いていい?」
「良いけど……何?」
「あのね……お雑煮って、白いお汁じゃないの?」




この後混乱したセンセイが一条に電話して、やっぱり白みそ雑煮でショックを受けて、同じく醤油すまし雑煮な花村に癒されるというネタでした。そして、りせん家が何故かin豆腐。そんなネタ。
推敲も手直しも一切していません。

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