さらに言うと、一等空尉もモテモテです。


そんなアクセス解析。何でその検索ワードで、何でその検索結果をクリックしちゃったし!!

今井さんにはなのフェイっていう選択肢しか出ないよ!
某ギャルゲのヒロインを可愛いな!って言う選択肢が三つ出てくるアレみたいな感じで。

=>・なのフェイは可愛いなあ!
・なのフェイは可愛いなあ!!
・なのフェイは可愛いなあ!!!

みたいな感じで。
いつでも心は全力全開!なのはさんにしても、クロノくんにしても、それぞれの嫁さんとイチャイチャしてれば良いよ!!クロノくんの性格上、ネタとしてはベッタベタなのろけ合戦とかできないのが残念ですね。棒読み。
私、本当に「金色の花が咲く丘で」が好きだな(笑)。

仕事中、止まらぬ妄想の話が愛しさに涙が止まらない感じの話でした。(真面目に仕事してるんですが、作業なんで頭は暇な感じで……。)



脳内でかかりまくる「金色の花が咲く丘で」がぐるぐる回る。


あれ?クロくんとなのちゃんぽくね?


誰かクロくんとなのちゃんで「金色の花が咲く丘で」みたいな話を書くと良いよ!「SB」と「リリカルおもちゃ箱」わかる人なんてこの世に存在しないかもしれないけど!私も「SB」しかわかんないけど!!←今ここ。(原作未プレイ。)




そんな頭と同時に、グロありヤンデレなのはさん話とか思いついたよ。スターダストフォール(物理破壊設定)でクロノくんの足潰したり、嘘か本当かわからない嘘吐いたり、黒かったり…………そんなネタ思い浮かぶけど別にクロノくんが憎いわけではないですよ?
確かにちょっと、嫁さん以外の前で喘がせたいとか思ってるけげふんげふんっ。
空戦AAA+以上の夫に勝つ方法。
「クロノくん、なのはちゃんのスターライトブレイカーとこれ(離婚届)、どっちが良い?」
「スターライトブレイカーでお願いします。」(何故か敬語)


真面目に描いたらただのシリアスじゃないですか。

>時空管理局様(http://kaho.itjp.net/nanoha/
捕捉ありがとうございました。
そんなことを言いだすクロノくんとかダメですか(笑)?

妹や妹の友人がガチンコな道を歩もうとするのを、ちょっと……と思ってたクロノくんが、「夢を見たくなる」になるまでを考えると心が抉れるんですが、平穏に暮らしてほしいと言う思いと、「夢を見たくなる」を同時に抱いていたら、結構葛藤なんじゃないかと思います。


タイトルのセリフを誰に言うかによって方向性が変わってくると思います。

パパリンあたりに言いだして、「クロノ提督……気持ちはわからんでもないですが、落ち着いてください」と真剣に返されてしまったり、「まあ、うちの娘も……いつかランスターのお嬢ちゃんを嫁にするとか言い出しかねないですが……」とかこぼしちゃったり(笑)。ティアナはティアナ・ナカジマでも良いんじゃないかな(笑)。


もしくは、なのはさんのことを想いながら、諦めてるみたいなことを言うユーノくんに↑を言って、動揺させて、「ほら、やっぱり諦めてないじゃないか……」みたいなことをいうクロノくんとかありだと思いませんか?
最近、やたらとクロノくんとユーノくんを仲良しに書きたがるのはきっと気のせい。腐った目での話なら、むしろアホな喧嘩してるのを書きます(笑)。



今井さんには、なのフェイという選択肢しか出ないよ!
アクセス解析を見ると、よく何でそのCPをお求めで、その検索結果をクリックしちゃったし!っていうのがあります。


求める気持ちはわかるから罪悪感があるんだ!!わかる!狂おしいほどのその気持ち!でも、それはポータルサイト・時空管理局様(http://kaho.itjp.net/nanoha/)行って検索した方が早いかな!っていうのがちらほら。サーチさんは機能しなくなっちゃいましたしね。



クロユノとか探してるのは男性ですかね、女性ですかね。ごめんなさい……どっかでユノクロは書いたことあるんだげふんげふんっ。(あれをユノクロと読んで良いのかは知らんですが。)
誰かヴェロクロとか書かないかな!(私が読んでみたいだけ。)
「なのは」の映画11回目と、「Fate」の映画見てきました。

「なのは」二回見ればよかったorz



なんていうか、26話のアニメを3話から見始めた挙句、超飛ばし飛ばし見て、最後の重要なとこだけ見ちゃいました……みたいな映画でした。ずっとぽかーんてしてた。
「なのは」の一期がなのはさんがフェイトちゃんに片思いして、その片思いが実って、遠距離恋愛になるまでの話なので、まとめやすかっただけだってわかってるんですが、どうしても連続で見ると比較してしまう!!

あれ?なんか士郎さんとフラグ立ってんのセイバーさんじゃね?凛とフラグ立ってんのはランサーじゃね?みたいな映画でした。謝って!全国の士凛派の方々に謝って!!
桜ちゃんの出番はべらぼーに少なかったですが、可愛かったから許す!


アサ次郎が格好良かったです。ランサーが格好良かったです。

仮に原作通りに

2010年4月21日 日常
なのはさんとクロノくんが現状の性格とかのままくっついたとする。(クロノくんとフラグ立つには、現状のなのはさんじゃ無理だよって言う前提は置いておいてください。)


指揮官型の彼氏と前線タイプの彼女って凶悪じゃね?
それに加え、オールラウンダーな義妹と、殲滅兵器になりうる友人が……………世界征服でもする気かって感じなりますね。それなんて種げふんげふんっ。
そんなことを言うクロノくんをSSで書くのはいつになることやら。

これ=指輪です。
クロノくんが原作ではめてくれないから、二次創作で勝手に捏造するしかないじゃない!!なんだよおおお!パパリンがはめてないのは、クイントママンが亡くなってるからだと思えば切なくなるけど、クロノくんは現役夫じゃまいかあああああ!!なんだよおおおお、君の奥さんはちゃんと指輪はめてるじゃないかああああ!!!うわあああん!乙女の純情なめんなああああああ!!!
と、取り乱してみます。エイミィがはめてる指輪の設定は、クロノくんが選んだものだから、すごくらしいな、って思うと、すごいきゅんきゅんする。


指輪をはめてるのは、制服の時だけ。手袋の下では、はめてるよっていうネタ。バリアジャケットの時(普段)とかは無くしそうで、無意識に彼女の存在に頼ってしまいそうで……っていうネタ。制服の時は、お偉いさん(含むカリム)との会合とかだから、頼りたくなってしまうよ……みたいな。
そんなネタ。好きCP以外の話に好きCP要素を入れると、もれなくそっちに全部持ってかれてしまうからいけませんね。

「クロノくんから、永久就職解雇されちゃったら、フェイトちゃんがあたしを雇ってくれる?」
「え……?」
「ふふっ、お姉ちゃん、執務官補できるよ?」
「あ、そういう………」
「フェイトちゃんは現場に出れる補佐官が欲しいみたいだけど、お姉ちゃんを補佐官にすれば公私ともに支えてあげます。実績もあるよ? まあ、破棄されちゃった実績もあるけどね」
「エイミィ!」
「もうっ、だから、もしもの話」
「もしもでも、そんな話しちゃだめだよ」

みたいな。不穏すぎる(笑)。クロノくーん、早く家に帰らないと、妹に妻寝取られるフラグ立つよーみたいな。
脳内でリリカル少女漫画な話と不健全な話が同時進行的に回ってます。


クロエイ初デートで、腕とか組んでみたいなーって思うけどクロノくんがしてくれるはずないかと諦めるエイミィ(でも寂しい)と、エイミィが思ってることなんとなく察してるけど恥ずかしくてできないから頑張って手だけでもつないでみたクロノくんとか、手を繋いだはいいけど照れて足早になっちゃうクロノくんに困りながら、耳まで真っ赤になってるけど手をつないでくれるのが嬉しくなっちゃうエイミィとか、ありですか。なしですか。
デートと言っても、海鳴市のおうちのそばを散歩、みたいな。ちゃんとどっか連れてってやれとも思いますが、バッカ、おま、好きな人とだったらどこでも良いんだよ!みたいな。「コルダ2アンコ」やりながら私も近所じゃなくてどっか連れてけよって思いましたが、ある日突然好きな人とならどこでも良いお年頃なんだと気付いた。まあ「コルダ」の場合、本気で近所が観光地なんですけどね。
デートらしいことしようかと、外で食事でもと思ったけど、エイミィが作ってくれるっていうか、ご相伴にあずかることに……みたいな。やきそばだよ。「BoA」のせいで、私の中でクロノくんはエイミィに胃袋掴まれたことになってますよ(笑)。クロノくんの好物はエイミィとの想い出の料理だと思うとともて萌える。都築てんてーありがとう。

まあ、「ワールドイズマイン」じゃなくて「ラブサイン」なんですけどね。つまりはそういうことです(笑)。「ワールドイズマイン」はもう、ぺさんのテオハムにしか聞こえない。「ラブサイン」はキーが高すぎて、カラオケで死んだ。
これ系の曲で「右手が寂しい」ってことはちゃんと彼女を左側においてるんですね。彼氏偉い。(「左手が寂しい」だと彼女が道路側ってことになっちゃう。)


不健全な方は私にしては珍しく淫語とか入ってるよ、みたいな。提督自重。ベッドの下の秘密を妻どころか、義妹にまでバレる……みたいな。



いや、リリカル少女漫画な方も結局は不健ぜげふんげふんっ。





あれ?おかしいな、はやてちゃんについて真面目に語るはずが………。


(追記)
「君が恋に溺れる」じゃない方のあのSSの続きを考えてるんですけど、何か「魂という紅赤き熱風よ」のサビ少し前みたいな話になっちゃって………。(「なのは」と「遙か3」両方わかる猛者なんてそうそういねえよ。)

クロノくんがウザげふんげふんっ。中の人がネオロマ声優としての意地を見せてみろ!!とは思いますが………まあ、ぱよの人は違うんですが。クロくんはげふんげふんっ。(クロくんの中の人は攻略できるといえばできると言えなくもない微妙な立ち位置のキャラでげふんげふんっ。)


都築をもとい続きを書くとしたら、ほんのりヴェロシャハ風味に何故かなります。(ここではアップしませんが。)
ただし、私が書くほんのりって大概読んでる人に伝わらないので………。

>「なのはちゃんには失礼な話だけど、夢とはいえ初恋の相手とラブラブになれて良かったね」
ここがイヤミだと気付く人が少なすぎる(笑)!みんなクロノくんすぎる(笑)!!
おかしいな……元のSSの該当セリフはもっとイヤミだったのに。
「薄桜鬼」アニメ三話見ました。

石田散薬に全部持ってかれた(笑)。
しんぱっつぁんまでキラキラしてて噴いた。山南さんが私の心をえぐる……!

石田散薬が出るたびに、頭の中におっきーVSトシちゃんの、局長イベントでのCGが……!!
今日は仕事中、ずっと「ラブサイン」的なクロエイがぐるぐるぐるぐる。

まんまあんな感じで…………書いてもここではアップできない内容に………。
クロノ提督の御乱心。
http://73676.diarynote.jp/201004141805568806/
http://73676.diarynote.jp/201004141807391927/
14日にSSアップしました。冒頭グロ注意。



クロノ提督の御乱心ぶりに、わざわざ騎士甲冑まとってシュベルトクロイツで物理的にツッコむはやてちゃん……っていうネタがよぎってしょうがないです。

「ってえ、全然反省してないやん!!」
「……っ、危ないぞ! はやて! よりにもよって、柄じゃなくて剣十字のところで!」
「ちょお、黙れ! 女の子の純情踏みにじってぇ! 真面目に相談乗ってたあたしがアホみたいやんかあ!」
「僕は真面目に相談してた!」
「嘘やああ! 反省したら、そんな、図星つかれた恥ずかしい☆みたいな顔せえへんわあああ!」
「違う!」
「なら、ちょっと楽しかったっていうのは事実。みたいな顔やわああ!!」
「……」(図星)
「そこお! 顔赤くせんといて気持ち悪い!」
「気持ち悪いとか言うな!」
「普段真面目なクロノ君が色ボケたら気持ち悪いわ!」
「失礼なこと言うなあああ!!」

みたいな。


当初は最近何本か「なのは」でSSを書いてるのに、はやてちゃんが出てこない(名前だけ出てくる)のばっかなので、涙目になってるはやてちゃんアップするつもりが………おかしいなああ。


>時空管理局様(http://kaho.itjp.net/nanoha/
捕捉ありがとうございました。
某マンガの限定版を頼むついでに買いました。全員クリアするまで買わないつもりだったのに……。


各キャストインタビューのページで水橋さんの代表作に アニメ「魔法少女リリカルなのは」(ユーノ)とあり
コメントで「男性役でちゃんと恋愛をしたことがなかったので 」と水橋さんが仰ってて




ユーノくん(涙)!!!!!!
全私が泣いた。

中身は普通にきゅんきゅんしました。七海ちゃんの書き下ろしイラストに全私が悶えた。部長で死んだ。きょーやの好みのタイプで死んだ。(かなでちん一筋なのに気付いてもらえないきょーやMOE!!!!)
冥加がかなでちんに支配されすぎてて盛大に噴いた。
お前なんて「星奏学院祭3」に来なくて良いよお、お前なんてなの破産してな!って言われちゃったから……。

じゃあ、力の限りなの破産してやんよ!!って思ってます。

こないだ映画、視聴回数二桁いきました(笑)。まだ見る!!
何でこんなこと言ってるかっていうと、「星奏学院祭3 不安」って検索できた人がいるってアクセス解析に書いてあるんですもの。何が調べたいんだ(笑)。チケット取れた人がそう検索したなら、とりあえず私の前で土下座しろ(笑)。大丈夫、イベント行くついでに来れる距離だ(笑)。チケットまだ取れてない人は……そう思うなら諦めようぜ、とか言ってライバルを減らそうとしています(笑)。




ところで、クロユノなんだかユノクロなんだかわからないネタを考えながら出勤してたら、気づけば寝ちゃって、電車寝過ごしましたorz起きたら一つ先の駅の少し手前でしたorz
女性を縛りあげることに定評のある某提督の呪いか!それとも、あんよが眩しい某司書長の呪いか!!!


スティンガーブレードって非殺傷設定にできるのかなあって考えてたら、寝てました。あれに限らず、付与効果で攻撃するタイプの魔法って非殺傷設定にできるんでしょうかね。スターダストフォールとか。あれ小石ってレベルじゃねえ(笑)。
なのはさんは魔力直射型だし、はやてちゃんもそれ系ですが、古代ベルカ式組とかどうなんでしょう。クロノくんとかは、つねに物理破壊設定にしてそうですが……映画はやっぱり物理破壊設定だとやっと認められるようになりました。あのシーンを見るたびに、クロノくん後でボッコね、とか思うようになりました。クロノくんボコり甲斐ないけど。久しぶりにやって、なのはさんで雷刃たんをボッコにしたときの、なんと楽しかったことか(笑)。星光たんにはやっぱり完封勝利はできませんでした。他はほぼノーダメージ勝利できたのに。


とりあえず、考えてるネタのタイトルは「カナリア」にしようかなと………いやー、そのネタの前の話のタイトルが「birdcage」だったから、こう……鳥繋がりで。
私がタイトルで「birdcage」とかつけたら、いろんなアーティストが歌ってる「birdcage」ではなく、まず間違いなくよくぼーのばーどけーじ なあの曲を指します(笑)。でも、なんかクロなのっぽいんですけどね(遠い目)。
謝って!!キラたんに謝って私!!馬鹿馬鹿!私の馬鹿!何でそこでポジティブにキラゴウで解釈できねえんだよおおおおおおおおおお!!!!!

まあ、書いてる最中に聞いていたのは「うつろな夢」なんですけどね。愛してる憎んでる。そんな話でした。でも「うつろな夢」は私の中で、フラキラソング。ポジティブに考えるならパン→シヴァソング。一時期の福山さんの解釈でのパンドラから見たシヴァの曲だと思うと、シヴァのキャラソンとして不適切ではなくなる「うつろな夢」。普通にシヴァのキャラソンだと思うと不適切な「うつろな夢」。だってシヴァはユダ氏に愛してる一択。
読んだ人に、え?クロフェイでしょ?って言われるような感じのネタが頭をよぎっています。

違うよ。
なの→フェイで、クロ→なので、ユー→なのだよ。表記に困る感じで。

風邪をひいたフェイトちゃんが怖い夢を見てしまって、泣いちゃって、クロノくんが慰めるっていうベタな感じの。頭なでたり、抱きしめたり、お手てつないでみたいなことをして…翌日照れてるフェイトちゃんを見て、ジェラシーで眠れないなのはさん。
「クロノ君、ちょっと魔法の練習付き合ってくれない?」(可愛い顔)
「ああ、いいぞ」(ときめきの導火線に火がつきました)
(クロノおおおおおおお!! 逃げてええええええええええ!!!!!)(なのはさんの無意識のジェラシーに気付いているユーノくん)

みたいな。
※ただし仕事中のクロノくんを除く。

Loveな方面で格好良いクロノくんが書けません。中の人がネオロマ声優な意地を見せてみろ!!!!!(大人限定。)
まあ、それを言ったらロッサやパパリン、スカリエッティとかもなんですが。



(追記)

「仮に僕が本当に浮気したらどうする?」とかクロノくんがエイミィに聞いちゃう

「はっはっはー、浮気宣言?」
「するわけがないだろう」
「ごめんごめん、うーん………クロノくんがー自分の気持ちに気付く前にあたしが気がつかないはずがないからー、クロノくんが自分の気持ちに気付く前に人事に連絡して、新しい人員補充してもらってー、引き継ぎをしてー…そのあと、クロノくんをこっぴどくフッてー、次の日には管理局退職してー、もちろん管制官としての穴は埋めるけどー、クロノくんの補佐の穴埋めはあえて無視してー、んでもってヴェロッサくんあたりを誘惑して結婚して、当てつけるようにクロノくんに『あたしたち結婚しました』って年賀状を出す!」
「…………どうしてロッサなんだ?」
「クロノくんが一番ダメージを受ける相手を選んでみました☆ユーノくんとかも考えたけど、なのはちゃんに勝てる気がしないから……勿論、子どもとか生まれたら写真付きの年賀状を!」(女子はこういう地味に嫌なことを平気でやります)
「orz」


「何で素直に『浮気しちゃ嫌』って言えないんやろな……」
「ていうか、何で僕巻き込まれてるの!?っていうか、何でクロノ君僕にデュランダル向けてるの!?」
「まあ、可愛いやきもちやん」
「エターナルコフィンは可愛いやきもちに入らないと思うよクロノくうううんん!!!!!」



っていうネタが頭をよぎり



何故かクロノくんがヤンデレたらどうなるのかを考え



クロノくんが精神健全なために導入部分が思い浮かばず、吹っ飛ばして、ヤンデレた後を妄想



ヤンデレに権力持たせちゃいけねええな!!ってって妄想になりました←今ここ



なのはさんとかフェイトちゃんとかはやてちゃんがヤンデレると、物理的に怖いけど、クロノくんやエイミィやリンディさんやユーノくんだと、精神的に怖い。何か表面上は変わらなくて。



「フラれた」
「え……」
「他に好きな人ができたそうだ」
「何でそんなにあっさりしてるの?」
「子どもみたいに駄々をこねても、仕方がないだろう?」
「まあ、そうだけど……もう少し落ち込んでるかと思った」
「落ち込んでなんかいられないさ……やることはいっぱいあるんだ」
「無理をしてるなら、止めた方が良いよ? あとが辛いだけだ」
「無理なんてしていない。自分ができることしか、できないよ」

みたいな会話を妄想したり。
クロノくんは何一つ嘘を吐いてないけど、八橋にはくるんでるよ、みたいな。
どんな妄想かはここでは詳しくかけない……!ていうか、そんなネタ、高校時代から何回書いた!?みたいな。ああ、もう五回くらい書いてる…。


ちなみに


「フラれた」←勘違い
「え……」
「他に好きな人ができたそうだ」←勘違い
「何でそんなにあっさりしてるの?」
「子どもみたいに駄々をこねても、仕方がないだろう?」←子どもじゃないので実力行使
「まあ、そうだけど……もう少し落ち込んでるかと思った」
「落ち込んでなんかいられないさ……やることはいっぱいあるんだ」←隠蔽工作とか
「無理をしてるなら、止めた方が良いよ? あとが辛いだけだ」
「無理なんてしていない。自分ができることしか、できないよ」←権力フル活用


ろくでもNEEEEEE!!!!
っていう弁明が必要なSSをあげましたね。

元のSSでは、クロノくんがなのはさんに手を出す(ただしクロノくんの意識は抵抗しまくり)→フェイトちゃんにバレて殺される→首吹っ飛ばされたあたりで目を覚ますっていう流れでした。

こちらのSSでは↑の悪夢の後の話から始まって→目を覚ますっていう流れです。

悪夢の流れは、クロノくんがなのはさんに手を出す(何かちょい原作ナイズド)→フェイトちゃんにばれて首吹っ飛ばされる→エイミィが介入してなのはさん監禁→なのはさんとクロノくんが失踪ってことで混乱→その間もフェイトちゃんはなのはさんのところに通って、エイミィがそれを隠蔽、なのはさんは若干ストックホルム症候群気味→操作打ち切り→それでもくじけないユーノくんがなのはさんを発見→それを発見したフェイトちゃんに頭部を殴打される→とっ捕まる→ユーノくんまで殺されると察したなのはさんが止めてと叫ぶ、聞いてないフェイトちゃん→エイミィが登場→どうしてこんなことをするのかと暴露→ユーノくん南無

っていうのがSSで書いた部分ですね。
続きは、実はリンディさんはフェイトちゃんとエイミィの行動について気づいて、でも証拠がないから動けなかった、でもユーノくんが死亡したことによって、ボロが出た→タイーホ→リンディさんに引っ叩かれてやっと泣けるエイミィ→リンディさんはその後、おかしくなってしまったフェイトちゃんの心を取り戻すために尽力する………っていう。

考えといて難ですが、救えねえ。特にはやてちゃんが救われねえ。リンディさんがなのはさんを放置するから、なのはさんは心に傷を負ったまんまだし、はやてちゃんはそんななのはさんを軽蔑するし……みたいな。まあ、マブダチが恋人裏切った挙句別の友人とできてました、しかもド修羅でした、彼女が馬鹿なことして人が複数死んでたら、そりゃあ…みたいな。
あくまでそういうネタですよ。なのはさん心折れ過ぎじゃね!?っていうツッコミはあれですよ。彼女の年齢は中学にあがったばっかっていう設定で書いたので、クロノくんとの年齢差考えてくださいよ。犯罪ですよ!違法だ!

ちなみにクロノくんの死体はフェイトちゃんにケシズミにしてもらってゴミに出しました(笑)。生でじゃねえです。生で成人直前男子を捨てに行くのは困難です。



悪夢の中のエイミィは現実のクロノくんの投影ですね。リンディさんがエイミィ。ユーノくんがなのはさんってとこです。あんまり深く考えちゃだめです。


元のssの悪夢が割とこざっぱりしてるので、全年齢に直す時あれでした。何か流れが変なのはそのせいです。同衾じゃなくて事後だったしねげふんげふんっ。


クロノくんがユーノくんをアウトオブ眼中にしてたのは元のSSからです(笑)。

「クロノくんはユーノくんの気持ちを知っている、しかもなのはさんたちの関係を知る前応援してた(そんでもってなのはさんがユーノくんの気持ちを知らないことを知ってるから、あえて黙ってる)」っていう設定で書いていたんですが、うっかり「なのはさんたちの関係を知ってて、それを複雑に思ってて、しかもユーノくんのこと応援してたのに、夢の中でなのはさんの相手=フェイトちゃんだって思ってんじゃん!認めてんじゃん!自分!!」っていう描写を入れ忘れました(笑)。


最大のうっかりは元のssで結構重要なシーンでタイプミスしてたことなんですけどねorz
何故よりにもよってそこのシーンでやる私orz
   ◇◇◇


「はあ……」

 アースラの一角にて、クロノは深いため息を吐いていた。ほぼ徹夜状態で仕事をしていたクロノはいまだ悩んでいた。

『もう……そんなに悩むんだったら、いっそなのはに告白してくれば?』

 相談めいた通信を入れた相手に、あっさりとそう言われてしまった。その相手と言うのが、いまだなのはに恋をし続けている元恋敵だというのが笑える話だが、今のクロノには笑えなかった。
 今更、彼女に恋をしていたと伝えることなんて、できるわけがない。だって、今の自分は別の女性に恋をしているのだから、これ以上の不貞は働けない。働くつもりもない。
 けれど、いつまでも心にもやもやとしたものが残るのだ。


「何で、なのはなんだ……」
「わたしがどうかしたの?」

 そんな、彼女に対して失礼なことを呟いた途端、背後からなのはの声がした。ギクリと、彼の肩は大きく上下し、クロノは恐る恐る振り返る。振り返ってみると、キョトンとした顔のなのはがいた。彼女の顔を見た途端、やっと赤みが引いた頬がまた赤くなっていくのを感じる。
 恥ずかしいのか、それとも当時の恋心がまた胸に宿ってしまったのか、彼の心臓は早鐘を打つ。

「クロノ君?」

 夢で見た可愛らしさそのままに、なのははクロノを見上げた。その姿に、また心臓は早くなる。
 
「どうしたの?」

 首を傾げる様にまでドキドキする。マズイ。これはマズイと、クロノは後ずさる。

「クロノ君?」

 なのはは首を反対に傾げながら、クロノのアンダースーツの裾を掴む。その行動に、クロノの心臓は限界を迎えた。
 なのはの指から無理やり衣服を引っ張り、彼女から離れた。クロノはタッと走りだす。なのはが何度か彼の名を呼んだが、クロノは振り返らなかった。これではまるでただの恋する少年だった。





(最悪だ…っ…)
 おそらく、彼女はエイミィに言われて彼のもとに来たのだろう。何も謝れないまま、彼女から逃げてしまった。
 謝罪をしなければいけない相手から逃げてしまった。その上、顔の赤みが引かない。鼓動も早い。戻らなければいけないと思いながら、平常心を取り戻せずにいた。そんな時に、よく聞きなれた声がクロノの耳に届き、彼は再び肩を上下させた。

「クッロノくーん! ちゃんと謝れたー?」
「…エイミィ……」

 テンションの高い声音のまま、エイミィはクロノに近づいた。動こうとしないクロノのそばに彼女がたどり着くのはあっという間であった。
 あまりにもタイミングが良すぎた。それがいけなかったのだ。

「……謝れなかった……」
「えー!? 何でー!?」

 俯いたクロノに、エイミィは詰め寄る。
 ちゃんとフェイトを引き離して、謝れるようセッティングしたのにと、彼女は言った。エイミィの気づかいだったが、それを素直に受け入れられない感情がクロノの中に渦巻いていた。

「………どうして……」
「え、何?」

 これが八つ当たりだと、心の中で気付いていた。それでもクロノは口にしてしまった。

「どうして、僕がなのはを好きだと当時言ってくれなかったんだ…?」
「どうしてって……」
「言ってくれれば、今頃……」

 そこまで言って、クロノは己の失言に気付き、口元を押さえた。恐る恐る顔を上げると、エイミィの瞳が冷ややかなものに変っていた。
 恋人の初恋の相手を知るエイミィ。その相手は彼女ではなく、よく見知った少女。自分の気持ちも気付いていなかったクロノの口から出た言葉は、フォローでもなく、誤解を招くような言葉。クロノとしてはそんなつもりはなかったが、彼女との関係を否定している取れる言葉を口にしてしまったのだ。

「へえ……」
「待ってくれ、エイミィ……今のは……」
「そんなに、なのはちゃんのことが好きなんだ?」
「違……っ」

 咄嗟に彼女の手を取ろうとしたが、パシンと音を立てて跳ね返され、拒絶される。
 『好きだった』ではなく、『好きなんだ』。まるで現在進行形でなのはのことが好きだと言われているようで、クロノは顔をしかめた。だが、先ほどまでの赤い顔では説得力の欠片もなかった。
 ほんの数秒の沈黙の後、すぐに彼女は普段の表情を取り戻す。クロノはホッとするが、次に聞こえてきた彼女の言葉に心砕かれる。

「クロノくん……恋敵はフェイトちゃんっていう強敵だけど、頑張ってね。お姉さんは応援してるよ」

 いつものお姉さんぶった言葉はクロノに軽いショックを与えるが、その代わり優しいものであるが、これはそんなものではなく、ただ彼を傷つけるものだった。ただの拒絶だ。
 もうクロノの言葉なんて聞きたくないと、彼女は踵を返した。

「エイミィ! 待ってくれ!」
「ん、何?」
「今のは……」

 今度こそ彼女の手を取ったが、エイミィの表情は変わらない。以前と変わらない。

「もうっ、クロノくんが腑抜けてるからちっとも仕事進まないんだよ? しっかりしてよ、クロノ執務官?」

 そう言って、取りつく島もなく、クロノの手を払いのけた。
クロノの鼓動は先ほどとは別の意味で早まる。あの悪夢を見たときのように、心臓が痛いほど鳴り響いている。今の状況より、あの悪夢の方が幾分かマシに思える。何せあちらは夢で、こちらは現実だ。夢はなかったことにできても、現実は、彼女を傷つけることを言ってしまったという過去を変えることはできない。

「エイミィ……!」
「ほら、仕事仕事!」

 そう言って、エイミィは必死になるクロノの背を押した。クロノの言葉を聞こうとしない。言い訳も、何も聞いてもらえない。
 自分の言葉が原因とはいえ、クロノの心はズキズキと痛んだ。





 それから、二日――。
クロノは表面上は何も変わらず、仕事をしていた。落ち込むことは立場上許されない。ユーノから調査結果を受け取り、事件の解決について話し合い、検討する。その間も、エイミィはクロノの隣にいた。いつもと変わらない表情で、クロノの仕事をサポートしていた。これで少しは解決に迎えることができると、安堵した。
 だが、その内面はどうだろう。表面上は何も変わらない。軽口もきく、冗談だって言う。フォローだってしてくれる。けれども、あくまでも表面上の話だ。


―――数日前と決定的に違うのは、彼女の心がクロノから離れてしまったということ。


 感覚的に気付いた事実に、クロノは愕然とした。もう、恋人として接するつもりはなく、角が立たない程度の関係だと偽るほどに嫌われてしまったのだと、気付いてしまった。未練なんてないほどに、すっぱりと離れて行ってしまえるほどに。


 休息を取る時間になって自室に戻ると、仕事中とは打って変わって気持ちは暗くなる。
 ほんの数日前まで、情を交わし合っていた相手が眠っていた自分のベッドに腰を降ろし、クロノはうなだれる。
エイミィと同衾して、眠りに就いたこの場所。時間を合わせて、一緒にいる時間を設けたこの場所。もう、熱なんて残っていないと知りながら、触れたシーツは冷たく、クロノの心に虚しさが去来する。
クロノとの間に一線を引いたエイミィが、再びこの場所で眠ることはないのだと思うと、寂しさと悲しさだけが胸に落ちる。自分はまだ彼女のことが好きだが、彼女にとって自分はそうではない。


「エイミィ……」

 未練がましく、彼女の名前を呼んで、奥歯を噛む。頬に涙が伝えば、どれだけマシであろう。
実際は、涙なんて出なかった。ただ苦しいだけで、それを吐きだすすべをクロノは知らなかった。心の中にため込んだまま、昔のように俯くことしかできなかった。一人で前を向くことができないだなんて、どれだけ自分は彼女に頼り切っていたのだろうと、己の情けなさに途方に暮れる。
 ユーノに相談しようと思っても、通信を拒否された。彼は誰にも言えないまま、ただ苦しんだ。
 そんな時、クロノの部屋のドアが主の了承も
得ずに勝手に開かれる。クロノ以外で、そんなことができるのはただ一人―――エイミィだけだと、クロノは顔を上げた。


「クロノ君、ごめんね。勝手に開けたりして……」
「なのは……」

 クロノの期待をよそに、彼の瞳に映ったのはなのはの姿だった。左頭部に一つ結びした長い髪。まだ成長期の最中である小さな身体。そんな身体に不釣り合いな管理局の制服を身に纏ったなのはは困ったような顔をして、クロノを見ていた。

「クロノ君、ごめんね」
「何回も謝らなくて良い」
「……あのね、わたしが謝りたいと思ってること、多分クロノ君が思ってることは違うと思うんだ」

 なのはが何回も繰り返し、頭を下げるものだから、クロノは制止した。どうやって開けたのかは気になるが、傍から見てぼんやりしていただけだから問題はない。そう思って口にしたのだが、なのははフルフルと首を横に振る。どうしたのだろうとクロノが様子を伺うと、なのはは苦笑いをしながら再び口を開く。

「あの……エイミィさんに、わたし、全部聞いちゃったの……」
「………は?」

 なのはの口から出たエイミィの名に一瞬だけ動揺して、一瞬の間の後、彼女の言葉に目を丸くした。
 全部とは何を指しているのだろう。もしかして、もしかしなくとも。

「えっと………クロノ君の初恋のこととか……」
「……っ」

 初恋。その言葉を口に出されて、クロノはビクリと大きく肩を上下させる。一番知られたくなかった相手に知られてしまった。しかも、エイミィの口からという点が、クロノを余計に落ち込ませる。

「ごめんね! その…聞くつもりはなかったんだけど……」
「……そうか……エイミィは気がきくな……」
「クロノ君?」

 こんなことまでお膳立てか。謝る機会を与えてくれたことには感謝していた。それをぶち壊したのは自分自身であったが、なのはとの仲をお膳立てされたいとは思っていたなかった。あの時の言葉だって、もっと前に自分の気持ちに気付いていて、気持ちの整理がついていたなら、謝る機会を失わずに済んだと言いたかっただけだった。
 誰に言うわけでもない皮肉を口にして、クロノはなのはではなく遠くを見た。視線は彼女に合わせていたが、事実としてはなのはを見ていたわけではない。ここにはいない誰かに。

「なのは……あの時はすまなかったな。確認もせず、ドアを開けてしまったのは僕の方だったな……」
「あっ、うん。大丈夫、気にしてないから」

 なのはの言葉に、クロノはホッとした。不思議と彼女の前で、穏やかでいられる。あの時のように心臓はドキドキしたりせずに、視線だけは彼女に合わせることができる。ひどく穏やかな―――いや、冷めた心でいた。
 なのはがクロノも気にしなくても良いと言うと、クロノはそうかと一言呟いて、彼女から視線を逸らす。彼女への罪悪感ではなく、なのはを直視できないという身勝手な理由で。なのはは一切悪くないが、今彼女の目を見たら、また八つ当たりをしてしまいそうで、クロノは怖かった。

「クロノ君、エイミィさんと何かあったの?」
「……君には関係ない」

 ほら、やはり八つ当たりをしてしまった。気遣ってくれたなのはの気持ちを無下にする言葉を、クロノは口にした。自分の言葉に、クロノは後悔する。自身の失恋に、五歳も年下の少女に八つ当たりをするなんて、女々しいにもほどがある。
 クロノは息を吐いて、なのはに再び謝ろうとすると、彼女の手が彼の手を優しく包む。そして、じっとクロノをまっすぐな目で見つめた。

「関係なくないよ。わたしと、クロノ君は友だちだよ?」

 なのははクロノの手を引き、お話を聞かせてと言った。
クロノはなのはの言葉にハッとする。なのはは、クロノの言葉で傷つくほど、弱くはない。まっすぐ相手の目を見て、ちゃんと相手の話を聞こうとするのだ。
 クロノは今更ながら、どうして自分がなのはに惹かれたのかを自覚する。彼女の強さに惹かれたのだと、それが恋だと知らぬ間に終わってしまった自分の恋心のきっかけを、ようやく知った。

「なのは……」
「お友だちが悲しいと、わたしも悲しいの………だから、ね?」

 フェイトがかつてなのはに言った言葉と同じ言葉を、彼女は口にした。クロノは彼女の言葉に、何か吹っ切れたような顔をする。
 クロノは悲しさを吐きだすすべを、少しだけ知った気がした。




   ◇◇◇


「何で? だって、クロノは……」
「何でって……クロノがなのはを好きだったのは事実だよ」

 ここは無限書庫の一角。閃光のような金の髪の少女は、蜂蜜色の髪の少年にしがみついていた。
 少女はフェイト・テスタロッサ・ハラオウン。少年はユーノ・スクライアだった。美少女と美少女を見まごう美少年が並んでいて、傍から見るとなかなかの目の保養。場合によっては可愛いカップルと見間違われそうだが、実際は二人は現役の恋敵であった。
 クロノの無自覚の八つ当たりを受けたユーノはやはり忙しなく検索魔法を実行していた。それに加え、司書たちの指示、弾き出されたデータの検証エトセトラエトセトラ―――これらは全部、フェイトの義兄・クロノの八つ当たりに対する結果であった。

 どうやらエイミィと一悶着あったらしいクロノは、表面上は普段通りの仏頂面であったが、内面はひどく荒んでいた。なのはに対しての八つ当たりは自覚あるものだったが、こちらの年若き友人に対する八つ当たりは無自覚だった。さすが、自覚がなかったというのに恋敵をいびった男である。

 エイミィの暴露によってすべてを知ったフェイトは混乱したままユーノのもとへと詰め寄った。クロノの初恋の相手がなのはとは本当なのかと、フェイトはユーノに問う。
 数日前、ほぼ全く一緒の質問を彼女の義兄から受けたのは気のせいか。気のせいではなかった。ユーノは心の中で呟いた。ユーノの恋心に気付いていながら、こういう質問をするとか、兄妹そろって何なのだ。しかも、クロノなんて、なのはとフェイトの仲を知る前には、応援しているなんてバカなことを口走っていた。フェイトはユーノの気持ちを知りながら、彼の気持ちを尊重して、なのはには伝えなかった。血が繋がっているわけではないのに、何でこの兄妹はこんなに似ているのだ。
心の中だけで済ますのは、ユーノの優しさだった。彼にも友人を心配する心はある。


 フェイトはユーノの考えてることなど察することなく、あわあわと混乱していた。あれ?とか、クロノはエイミィが好きなのにとか、そんなことをしきりに呟いている。
 フェイトはユーノという恋敵の気持ちには気付いているが、クロノという元恋敵の恋心には気付いていなかったらしい。だからこそ、こうやって突然の恋敵の出現に混乱している。よりにもよって義兄が恋敵であっただなんて、そうないことだろう。混乱する気持ちはわかる。
 ただ、ユーノの仕事の状況を考えてほしかったが。

「フェイト……僕は仕事があるから、言いたいことがまとまらないならメールで……」
「なのはがクロノのとこに行っちゃって……どうしよう、何かあったら……」
「人の話を聞いてー!?」
「クロノ……エイミィと喧嘩してるみたいだし、なのはは可愛いからついクロノがクラッとかなったら………!」
「ねえ、人の話聞いてる!? ていうか、クロノ信用ないの!?」

 全くもってユーノの言葉を聞いていない。恋する乙女は止まれないのだ。恋は闇と、よく言ったものである。フェイトはあわあわと混乱しながら、ぐっとユーノの腕を掴む。ユーノがまさかと思った、次の瞬間――――彼の姿は無限書庫から消えていた。




   ◇◇◇



「エイミィさんにフラれてしまったと……」
「ああ…」

 人通りの少ない、アースラのある通路で、クロノとなのはは立ち話をしていた。
 しょんぼりと肩を落とす様が情けない男が、この艦の実質ナンバーワンだ。彼のこんな姿を見て良いクルーは、エイミィかフェイトくらいなものである。
 人目を避けて、人気のない場所を選んだが、一歩間違えば密会と誤解されてしまいそうだが、そんな意図はなかった。その実態は五歳も年下の少女に恋愛相談をする執務官という、何とも言えないものだ。

「クロノ君……何でエイミィさんがそんなことをしたか知ってる?」
「………僕が、関係を否定していると取れる言葉を言ったからだろう……」
「あ、それはわかってるんだね」

 グサリ。

 なのはの情け容赦もない発言に、クロノの心は抉れる。初恋も気付けない男なのにと言われているようで、心が痛い。
 なのははクロノの心の痛みなんて気にする様子もなく、話し続けた。

「うん、エイミィさん、すっごい怒ってたよ。クロノ君のバカー! って」

 それこそ、七歳も年下の少女に愚痴を言うくらいに。ついでに、フェイトにも愚痴ついでに、クロノの初恋を暴露していた。

「でも、怒ってるってことは、嫌いになったわけじゃないってことだから……」
「それが原因で、嫌いになったかもしれないだろう…?」

 最初は好きだからこそ怒っていたかもしれない。だが、なのはに愚痴を言った後に、嫌いだと思われたかもしれない。クロノの表情が暗くなると、なのはの顔は呆れ顔に変わっていく。

「じゃあ、どうして、わたしにクロノ君のところに行くように言ったの?」
「……は?」

 クロノはなのはの言葉に驚く。ほんの少しの間呆然とするが、またすぐに暗い表情へと戻っていく。そんな言葉を聞いたら、自分の都合の良いように解釈してしまう。それが嫌だった。

「エイミィさん、言ってたよ? クロノ君、きっと落ち込んでるから、慰めてあげてって」
「それは……」
「本当にクロノ君のこと嫌いだったら、きっと心配なんてしない。だから、クロノ君はエイミィさんに嫌われてなんかないよ?」

 嫌われていない。今のクロノには、なのはの言葉が都合の良い幻聴に思えた。なのはは本当のことを言っているだけだが、心が引きちぎれそうになるほど苦しんだクロノは、彼女の言葉をすぐには信じられなかった。

「大丈夫だよ、クロノ君」
「………不安なんだ…」
「不安?」

 にこりと微笑むなのはとは反対に、クロノは暗い表情のままに、ポツリポツリと、彼女の言葉を信じられない理由を呟いていった。

 恋人同士になっても、エイミィが自分を弟扱いすること。初めてのキスの相手はエイミィではなく、別の女性で、それを彼女に見られていたこと。クロノ自身、今回初めて知ったことだが、初めて恋をした相手が、物心つくかつかないかの幼いころに母にしたとか、エイミィにではなく、今目の前にいるなのはだったこと。それに気付いたのは、エイミィの言葉であったということ。

彼女の中では、いつまでも自分は弟のような友人であったらという不安。できれば、恋人と重ねていきたかった想い出が、彼女以外の女性相手であった自分に、彼女が呆れてしまうのではないかという不安。

 もしも、彼女が恋人関係を解消して、友人に戻りたいと言い出したら。
 もしも、別の女性との関係から、嫌われてしまったら。


 ずっと心に抱えていた不安。それを今回の件で、激しく揺さぶられた。
エイミィを好きだと思わなければ、こんな不安は抱かなかった。苦しくても、友人であったころの思い出が大切であっても、今の関係を壊したくないと、心底思っていた。
 ほんの少しの自分の間違いが、その不安に直結しているのだと、思い知らされたのだ。

 クロノの話をずっと聞いていたなのはは、深く息を吸い、吐きだした。穏やかな表情であったが、どこか寂しげな視線。まっすぐ、クロノの目を見つめて、なのはは口を開いた。

「わたしと、おんなじだ」


 そう呟いて、なのはもクロノのように、ポツリポツリと呟いた。


 クロノが知っているように、なのははフェイトが好きだ。友情ではなく、恋愛として。反対に、フェイトもなのはを好きだった。

「わたし、一度墜ちて……その時、はじめてフェイトちゃんが好きだって気付いたの……」

 勿論、友情としてはもっと前から。ジュエルシード事件が解決する前から、なのははフェイトのことが好きだった。

「目を覚ました時に、フェイトちゃん、泣いてた………でね、そんなフェイトちゃんを見て、わたし気付いちゃったんだ」

 フェイトが好きだと。彼女を泣かせたくない、悲しませたくない―――自分のために泣いてくれるフェイトを、誰にも渡したくないと。
 なのははそう言った。フェイトもそれを受け入れて、好きだと言ってくれた。
 悲しませたくないと言いながら、心配するフェイトの反対を押し切って、なのはは再び空へと戻っていった。それでも、フェイトは自分を好きでいてくれた。それがすごく、嬉しかった。


「フェイトちゃん、よく言ってるんだ……エイミィはずっとクロノのこと好きだよ、って」
「ああ」
「でも、クロノ君とエイミィさんって、友だちだったでしょう?」

 それがなのはの不安だった。フェイトは自分を好きだと言ってくれてる。だが、それは本当に自分と同じ『好き』なのだろうか。
 彼女には友情と恋愛の『好き』の区別があるのだろうかと、疑ってしまう自分がいるのだ。それは、薄々クロノも感じていた。だからこそ、彼はなのはとフェイトの関係を複雑に思っていた。
特殊な環境で育ったフェイト。彼女を生み出したプレシアは、フェイトにとって姉にあたるアリシアが幼いころに離婚してたと、調査資料に書いてあった。子どもにとって、一番身近にある『恋愛』の見本は両親である。彼女は父親を知らない。それどころか、プレシアを母と呼んでいいのか、アリシアを姉と呼んでいいのかすら、判別が難しい。
 そんな彼女が、果たして友情と恋愛の区別がつくのだろうか。ついていないから、『エイミィはずっとクロノのことが好き』だと言っているのではないかと、なのはとクロノは心のどこかで思っていた。

「正直ね……わたしも、フェイトちゃんを友だちとして好きなのか、恋愛として好きなのかわからなくなるときがあるんだ……」

 フェイトのことを好きだと思う。けれど、大好きな友だちだと感じる瞬間というのが、日常には存在する。
 なのははそれが怖かった。自分だって、友情と恋愛の区別がついていないのに、やはり区別がついていないフェイトにこれは『恋愛』であると嘘を吐いているのではないかという不安。

 それをフェイトに気付かれてしまったら。もし、フェイトが自分に対している感情が友情だと気付いてしまったら。なのはが自分を騙していると気付いてしまったら。


「嫌われたくないんだぁ……」

 友情であろうと、恋愛であろうと、なのはがフェイトを好きでいることには変わらない。でも、フェイトはどうだろう。それが恋愛であると嘘を吐いたなのはを好いたままでいてくれるのか。



 それが、なのはの抱いている不安だった。


 クロノと同じく、今ある幸せを手放したくない。相手が大切だから、嫌われたくないと思っている。
 もし、不安が現実になったらどうしようという不安が、なのはの中にも渦巻いていた。今回の件で、それは顕著になった。フェイトが、クロノたちのことを言及すればするほど、なのはの心は締め付けられていた。それでも、彼女は心が折れたりしないのだ。

 そんな彼女を見て、クロノは静かに、そして力強く断言した。

「フェイトが君を嫌うわけないだろう?」
「ふふっ、クロノ君がそれを言う?」

 慰めに来たはずのなのはを、クロノが慰めようとしているのがおかしくて、彼女はわずかに笑った。
 でも、どことなく安心している自分がいると、なのはは感じた。

「妹のことだから、わかるさ。僕とフェイトは兄妹だからな」
「あはは、すごい説得力」
「だろう?」

 なのはの表情も、クロノの表情も、少し明るくなる。友だちと悲しみを分かち合って、支え合う。ただそれだけだったはずなのに、何故だろう。どこか力強く思えたのだ。

「僕だって、君のことが好きだったさ」
「あ、浮気?」
「からかうな」

 なのははクロノの言葉に、わざとおどけて見せた。今の彼に、自分を想う気持ちはない。そんなこと、彼を見ればわかっていた。

「ごめん、ごめん。でも、ありがとう……クロノ君」
「ああ……」

 クロノも何故か清々しい顔をしていた。
 気付かずに終わってしまった淡い恋心が精算できずに思い悩んだ。エイミィに、とんでもない失言をしてしまった。そのことで、ひどく苦しんだ。
 だが、今は違う。なのはとの間には確かに友情があって、エイミィが自分を嫌っていないという彼女の言葉が、嘘ではないと信じられる。同じ痛みを知っているなのはが、嘘を吐くわけがないとわかったのだ。


「エイミィに、謝りに行こうかな……」
「一緒についていってあげようか?」
「いいさ。君と行ったら、誠意がない」
「だよねぇ」

 まだ艦橋にいるだろうエイミィのもとへ歩き出そうとするクロノに、なのはがクスクスと笑う。
 その笑顔は優しく、クロノを安心させるものだった。心強い友人がいたものだ。





   ◇◇◇


「フェイト……僕は仕事が忙しいんだけど」

 君の義兄のせいで。
 言おうとしたユーノの言葉をフェイトが遮る。

「だって、はやてがいなかったから…!」

 夜天の主は絶賛お仕事中である。同じくお仕事中であったユーノは、相談に来ていたフェイトにまんまと拉致され、気がつけばアースラに連れ込まれていた。
 フェイトはパワフルにも、艦橋にいたエイミィの腕をも引っ張って、クロノたちを追った。バレないようにこっそりと、でも大胆に、彼らの姿が見える壁際に居場所を置いていた。
 ある程度距離があり、声は聞き取れない。陰に隠れて、二人の様子を覗き見るというのは良い趣味とは言えないが、そうせざるを得ない心情がフェイトにはあった。
 ユーノは事情を知りながら、そんなフェイトの様子を呆れて見ていた。同時に、変に穏やかな顔をして二人の姿を見つめるエイミィに、ため息を漏らした。

「エイミィさん、クロノのどこが良いんですか?」

 何だかんだ文句を言いながら付き合っているユーノとは違い、エイミィは最初から大人しくフェイトに着いてきた。その理由は、クロノが不安に思うほど、エイミィの想いは小さくないからだと、ユーノは何となく察していた。だからこそ、ため息が出た。
 あんな仕事だけできる駄目男どこが良いんですかと、暗に言っているユーノに、フェイトは不満そうな視線を送る。なのはが絡むとクロノに対しても攻撃的になるフェイトだが、本当はお兄ちゃん子だ。むくれるフェイトをよそに、エイミィィはあっけらかんと答えた。

「ほんと、どこが良いんだろうね」
「エイミィさん……さすがにそれはクロノが不憫なので、クロノの前で言わないでやってください……」

 クロノから、やきもちも焼かないと聞いたけれど、そこまで言ったら、クロノを友人だと思っていても小憎らしいユーノでも、さすがに不憫に思えてくる。本当に言いかねないエイミィの姿に、ユーノは不安を覚えた。そんなユーノに、フェイトは抗議の声をあげる。

「でも、エイミィは本当にクロノのことずっと好きだよ!」
「フェイト…それは……」

その言葉は、フェイトが割とよく口にする言葉だった。クロノとエイミィが恋人同士になったとユーノに嬉しそうに報告する時も、そんなことを言っていた。余談ではあるが、彼女はこの時嬉しそうにぴょんぴょんと跳びはね、周りを驚かせた―――その姿はフェイトの姉・アリシアがはしゃぐ時とよく似ており、アリシアをよく知るものが見れば、二人が姉妹であるとわかる姿であった。

 ユーノは何度もそれを聞くたびに、なのはとクロノ同様の感想を抱いていた。
 けれど―――。

「………っ、フェイトちゃん…!」
「え、なに?」
「…い、いつから知ってたの……?」
「え…いつからって……」

 穏やかだったエイミィの顔が急に変わっていく。困ったような、怒っているような、不思議な表情に。そんなエイミィに、フェイトはキョトンとする。続くエイミィの言葉に、フェイトは困惑しながら、彼女に耳打ちしながら答える。フェイトが喋れば喋るほど、エイミィの顔は赤く染まっていった。

「何で知ってるの!?」
「何でって……ずっと二人のそばにいればわかるよ? 母さんも、多分知ってると……」

 目に見えて動揺するエイミィにユーノは驚く。今まで、そんなエイミィの顔を見たことはなかった。下手したら、クロノですら見たことがないかもしれない。
 フェイトの言葉を最後まで聞くと、エイミィは耳まで赤くなっていた。

「!?………クロノくんには絶対に言わないでね!?」
「え、何で? クロノ、喜ぶよ?」
「喜んでもだめー!!」

 エイミィの取り乱し方に、ユーノはポカーンと口を開けた。フェイトは相変わらずキョトンとして、エイミィに肩を揺さぶられていた。
 顔を真っ赤にして、クロノには言わないで。

「………………あ、そういうことか」
「ゆ、ユーノくん!!」

 ユーノにはわかってしまった。どうしてフェイトがあんなことを言っているのか、どうしてエイミィが激しく動揺しているのかを。
 ユーノが気付いてしまったことに気付き、エイミィの取り乱し方が激しくなる。ユーノは初めて、彼女がクロノのことを好きなのだと実感した。

「エイミィさん……本当にクロノ、喜ぶと思いますよ? だって、やきもちも焼いてくれないって落ち込んでましたし……」
「恥ずかしいからだめー!!!」

 からかうような口調の少年に、エイミィは絶叫する。
 答えは簡単なことだった。彼女はクロノが思っているよりもずっと前から、彼のことが好きなだけだ。それをあっけらかんとしたポーカーフェイスで隠しているだけで、本当はクロノに対しての愛情が深い。どうして隠しているのかは、何となく察することができる。確かに、年下の恋人にメロメロなんですとは言いづらい。それに、そんなことを言ったら、クロノが調子に乗るなんて目に見えてる。想像しただけでムカついた。

 ユーノがクスクスと笑っていると、エイミィは恥ずかしさの限界なのか、膝を抱えて縮こまる。
 そんな時だった。

「エイミィ……?」
「…く、クロノくん……!?」

 名前を呼ばれ、エイミィの身体がビクウッと大きく跳ねる。声の主は、話題にも上っているクロノだった。どうやら、こちらで話しこんでいるうちに、あちらの話は終わってしまったらしい。結果的に本人たちに見つかっては、隠れた意味なんてなかった。
 フェイトは少々困ったという顔をしていたが、クロノの後ろをついてきたなのははしょうがないなといった感じで柔らかく笑うだけだった。

 ユーノは知らないが、ここ数日エイミィに距離を置かれていたクロノはほんの一瞬だけ、彼女の姿に動揺した。それもそのはず。艦橋にいると思って、覚悟して歩いてきたのに、謝ろうと思っていた対象がこんなそばにいるだなんて。
 でも、その動揺もほんのわずかな間のこと。


 きゅんっ。


 ユーノは、他人が恋に落ちる瞬間をこの目で見てしまった気がした―――が、気のせいだった。きっと彼は、とっくに恋に溺れている。
 ただでさえも照れていたところを突然クロノに抑えられ、顔を真っ赤にして取り繕えなくなっているエイミィの姿。あうあうと言いながら、弱々しくクロノの名を呼ぶ彼女に、クロノの心臓はきゅんきゅんと高鳴る。胸の高鳴りが聞こえてくるようで、ユーノはげんなりした。
 クロノは何を思ったのかエイミィを背後から抱きあげ、そのままぎゅっと抱きしめる。他人の視線なんて、今の彼にはあって無いものだ。そこまできて、エイミィはハタと我に返る。

「ちょっと、クロノくん……っ」

 クロノによって地面につけない足をジタバタとさせながら、エイミィは彼に抵抗を試みる。けれども、無駄だった。謝ることも忘れ、久しぶりに触れる恋人を、クロノは離そうとはしなかった。


 こんなにメロメロなくせに、何で彼女の気持ちに気付けないんだとユーノは毒吐く。
 多分、彼はどうしてエイミィが真っ赤になっているのか、わかっていない。ただ可愛いからと、きゅんきゅん胸を高鳴らせているだけだ。

 苛立ちながら様子を見守るユーノは気付いてしまった。気付きたくもなかったけれど。


(ああ、あの二人鈍いんだ………)


 クロノしかり、なのはしかり。
 気付けるほど聡かったら、この場にいる人間の関係はもう少し変わっていただろう。その方が良かったのか、現状が良いのか、ユーノには判断できない。

 ただそこにあるのは、ユーノがエイミィに負けず劣らず、クロノの理解者であるということ。
 なのはの理解者だと言われるのは良いが、クロノの理解者になるのは嫌だと考えるあたり、ユーノもなかなか恋に溺れている。



―――それが報われぬ恋だとしても、溺れるのが恋なのだ。

END




続編↓
http://73676.diarynote.jp/201006240056106805/
※某所にアップしたSSの全年齢対象版です。
※冒頭グロ注意。




















―――なのはとクロノが失踪した。


 ユーノがその知らせを受けたのは、失踪事件が起こって間もなく。フェイトから連絡を受けたはやてが青ざめた顔をして、無限書庫へと駆け込んできた。はやての口にする事件の詳細に、ユーノも顔色を悪くしていった。

 最後に二人を見たのはエイミィだった。第97管理外世界――有り体に言えば、海鳴市のハラオウン家の近くの公園を二人が歩いていたという。何てことのない、ただの散歩だと、その時エイミィは思っていた。その直後、わずか数時間後になのはとクロノは失踪した。
 ただそれだけなら、最悪の事態を回避したいがために、許されざる恋の果て、駆け落ちに興じたのではないかと茶化すことができた。だが、クロノの部屋に残った夥しい量の血痕が、くだらない考えを封じた。
 むせ返るような鉄の匂い。粉々に砕かれたレイジングハート。赤黒く染まるベッドと壁と床。血が乾いた床に落ちた、汚れていない待機モードのデュランダル。
その血が、誰のものかは判別できなかった。一人の人間の血なのか、または二人なのか、それとももっと大人数の血が流れたのか。
 失踪した二人が殺されてしまったのか。クロノがなのはを殺してしまったのか。それとも、なのはがクロノを殺してしまったのか。または、二人が誰かを殺して、逃亡を図ったのか。

 現地の警察機関の手を阻み、時空管理局の一部は二人の魔導師の失踪を、内密に調査した。
 ユーノは泣きじゃくるフェイトをなだめつつも、事件を解決しようと調査に参加した。広域エリアサーチ、現地での調査における隠蔽工作。多少の違法行為があっても、同じく調査に協力してたリンディがもみ消していった。


 それでも見つからない。わかったのは、あの血痕が一人の人間の血であること。おそらく、大きな血管を切られ、そこから血が吹き出たこと。クロノが残したデュランダルは二人がいなくなった後に、その場に落ちたのだろうということ。
 そして、現場では何らかの性行為が行われていたということ。


 調査はそこで打ち切られた。それ以上の結果は得られない。より最悪の事態が発覚する前に隠してしまおうという動きになった。ユーノはそれでは納得がいかないと抗議しようとしたが、リンディとはやてに抑えられた。

 もし、なのはとクロノが何らかの重大な違法行為に携わっていたら。


 たとえ真実がわからなくも、なのはとクロノは見つからない。どんな汚名でも被せ放題のこの状況では、あまりにも分が悪かった。
 何しろ、なのはは管理局の若いエース、クロノは若くて優秀な執務官と、周りからやっかみの対象になりがちなのだ。もうすでに、くだらない噂は流れている。
 高町なのはとクロノ・ハラオウンの不貞。恋人のいるクロノがまだ幼いなのはに手を出し、連れ去ってしまった。そんな噂が跋扈し始めている。
 その噂を耳にしたユーノの瞳は憤りに揺れる。彼の大切な友人たちは、そんなことはしない。二人を知るものならば、簡単にわかることだろうに、他人の悪意は防げない。

 今は、噂を鎮静する方が賢明だとエイミィは言った。一番辛いのはクロノの恋人であるエイミィだろうに、彼女は気丈にも一度も涙を見せなかった。二人がいなくなってから情緒不安定になったフェイトを慰め、悲しさを隠し通そうとするリンディとはやてを励まし、支えた。
 そんな彼女の言葉に、ユーノは折れた。


 それから一年。
 噂は数カ月続いたが、今は何事もなかったかのように、管理局は普通に機能している。クロノとなのはが抜けた穴は補充され、二人がいなくなったことなど、人の記憶から薄れていった。


「もう、一年か………」

 ユーノはミッドチルダではない、他の管理世界へと出向いていた。発掘調査のためであったが、彼は他人の手を借りずに、二人を探そうとしていた。一人でできることには限界がある。けれど、何もせずにいることはできず、彼は何かにつけて外部へ足を運んだ。
 誰にも自分の意図を気付かせないように、その時その時の研究を利用していた。リンディあたりは何となく気付いている気がしたが、あえて何も言わないようだった。ユーノにとって、その気遣いがとてもありがたかった。

 それでも、結果は出なかった。もう何度繰り返したかわからない。この一年、ユーノはユーノなりに、力を尽くしてきたつもりだった。だが、結果が伴わない。なのはも、クロノも見つからない。
 もう、どこかで二人仲良く暮らしているなら、それでも良いかと思い始めてしまっている。ユーノは最悪の事態―――二人とも、もうこの世には存在していないと考えたくないのか、自らも鎮静化に努めた噂のような空想をしてしまう。
 そんな考えが頭を過っては、ユーノは頭を振る。そんなわけがない。なのはとクロノに限って、あり得ない。何故なら、二人ともそれぞれに想う相手が別にいる。あの頑固ななのはと、愚かなまでに真面目で筋が通ったクロノが、あの二人を裏切るはずがない。それはユーノも痛いほどにわかっていた。

 だって、ユーノは誰よりもなのはを理解しているのだから。

 誰しも、ユーノはなのはの理解者だと口にする。彼の中に渦巻く恋慕に気付きもしないで―――。


「なのは……」

 ある管理世界のある土地の繁華街。また結果を得られなかったユーノは、昼食を取ろうとその場に着ていた。人通りの多いこの場所で、不審に思われるだろうが、ユーノはそう切なげに呟く。ここがどこだかも忘れて、ここにはいない彼女の名を呼んだ。
 その時だった。

『助けて…!』

「え……?」

 ユーノはなのはの声を聞いた気がした。
 彼女を想うあまり、幻聴でも聞いたのだろうか。そう考えながらもユーノはあたりを見渡す。もしかしたら、なのはの声によく似た声の女性がたまたまいて、その女性が助けを求めてきたのかもしれない。そちらの方が、なのはが助けを求めてきていると考えるよりあり得る。
 ユーノはキョロキョロとあたりの様子を伺うが、それらしき女性は見当たらない。ならば、ただの幻聴か。そう思い、ユーノが前を向こうとすると、視線の端に違和感を感じた。

「な……の、は?」

 喧騒を避けるように路地裏へと歩いていく少女の後ろ姿。見慣れた栗毛の髪。不意に見えた横顔は、なのはそのものだった。
 探査魔法に、彼女は引っかからなかった。他人の空似である可能性も捨てきれなかったが、ユーノはわずかな希望に縋るように、少女を追いかけた。

「なのは……!?」

 別人の可能性だってあるというのに、ユーノはなのはの名を呼んだ。別人ならそれでも良い。でも、なのは本人だったら。
 名前を呼んで、彼女を助けたかった。助けを求められたからには、何が何でも。
 そう思い、ユーノは人を掻き分け、少女まで数メートルのところまでたどり着く。もう一度、なのはの名を叫ぶと、今まで振り返らなかった少女は驚きに目を見開く。

「ユーノ……君…?」
「なのは!」

 髪を結わずに、下ろした姿だったが、その少女は確かに高町なのはだった。ユーノがよく見知った、恋しい少女だった。
 一年の間に成長したのか、身長はユーノが知るより少々高い。一年前より、ずっと大人に近づいた顔だち。母である桃子に、より似てきた。
 ユーノの視界が感動の涙で歪んでいく。なのはは生きていた。生きていたんだ。



「あ……ああ…っ」

 喜びに震えるユーノとは反対に、なのはは何かに怯える。まるで見てはいけないものを見てしまったかのように。そんなこと、今のユーノは気付かない。

「だめぇ……っ、ユーノ君! 逃げてぇええ!」
「え……?」

 なのはが絶叫する。ユーノが驚きを見せる前に、彼の頭部に衝撃が走る。背後から何者かに殴られた。視界がブラックアウトし、ユーノはそのまま意識を失った。彼の身体は、何者かに引きずられる。意識があるなら、この者か理解できた。誰がなのはをこの世界に連れてきたのか―――誰がクロノを殺したのかを。




「あ、れ……?」

 目を開いたら見知らぬ場所にいた。ごく普通の民家のものであろう天井。ズキズキと痛みを訴える後頭部。そして、なのはの泣き声が聞こえてくる。

「やめて……やめてぇ…っ…」

 なのはの泣き声に、ユーノの意識は一気に覚醒する。いつも強い心を抱いていた彼女をこんなに弱々しく変える何かを確かめようと、ユーノは起き上がろうとした。けれど、両手両足――首までバインドで縛られていた。
 ならば、犯人は魔導師か。それも、ユーノが解除を試みても外れないほどのものを仕掛ける力を持つもの。いなくなったクロノなんかはバインドが得意だが。ならば、クロノがなのはを泣かせたのか。そう思ったが、ユーノは気付いてしまった。

「なのは……大丈夫だよ…? なのははわたしが守るから……」

 そう、なのはに囁く声の正体、自身を縛るバインドの魔力光の色に。

「フェイ……ト……?」

 なのはの声がする方に視線だけでもやると、長い金髪がなのはの姿を遮った。まるで母親が娘を宥めるように、フェイトはなのはを抱きしめていた。

「フェイト!」
「それにね、なのは……外は危ないんだよ? 怖い人に見つかったら、なのはは可愛いから、きっと連れ去られちゃう」

 ユーノの呼びかけをフェイトは無視する。悪いことをした子どもを叱るような口ぶりで、なのはに話しかける。

「やめて……っ」
「だからね、わたしはなのはを守るんだ……」

 泣きじゃくるなのはの言葉すら、フェイトは無視し、うわ言のように『守る』という言葉を繰り返す。その姿は狂気じみていて、ユーノの背筋が凍る。
 何で、フェイトがここにいるのだ。どうして、ユーノを拘束しているのだ。そう問いかけたかったが、ある人物の登場により、ユーノは愕然とする。

「もう、フェイトちゃんったら。もみ消すの大変なんだからね!」
「あ、エイミィ」

 何事もないかのように、彼女は突然現れた。ユーノがフェイトに気を取られているうちに、部屋に入ったのだろう。フェイトはユーノのことは無視するくせに、彼女にはきちんと反応を見せた。

「ごめんなさい………」
「あ、ごめんね。怒るつもりはないんだ?」

 しょんぼりとするフェイトの頭を、エイミィの手がそっと撫でる。なのははエイミィの登場に、より怯えているように見えた。

「クロノくんはもういないけど、あたしはフェイトちゃんのお姉ちゃんだから、フェイトちゃんを守ってあげる。そう、約束したでしょう?」
「うん……」
「大丈夫……お姉ちゃんが、何とかするから」

 そう言って、もう一度フェイトの頭を撫でた。

「だからね、あたしもフェイトちゃんにお願いしたいんだ…」
「……ううん、大丈夫。エイミィがお願いしなくてもね、わたし……ちゃんとできるから」
「やめて…やめてぇええ!」

 穏やかに会話をする二人とは反対に、なのはの表情はどんどんと歪んでいく。二人の会話の意図に気付いているようだった。
 そんななのはをエイミィは見下ろし、一瞬だけ冷めた眼差しをなのはに注いだ。けれど、それは一瞬のことで、すぐに穏やかな表情へと戻っていった。

「エイミィさん! フェイト! どうして…!?」

事情がわからず困惑するユーノは思わず叫んだ。何でなのはがここにいるのか、クロノがいないとはどういうことなのか――――どうして、二人がいなくなった時に、何も知らないという顔をしていたのか。
 様々な疑問を、一言に乗せた。それでユーノの言いたいことを察したのか、エイミィは彼に視線をやる。

「どうしてって? 簡単なことだよ。クロノくんが、なのはちゃんを抱いたの」
「え……?」
「鬼畜だよねえ、なのはちゃんはこんなに小さいのに、手を出しちゃたんだよねぇ」
「やめて………」
「おかしいよね? ユーノくん。他に好きな人がいたはずなのに、なのはちゃんとクロノくん、両想いだったんだって」
「やめてえええ!」

 普段と変わらないエイミィの口調と、なのはの叫び声。その二つがユーノの耳に不協和音となって届く。
 他に好きな人とは、エイミィとフェイトのことだろう。ユーノは衝撃を受けた。ユーノは、クロノを信じていた。どんなに勝手な噂が立てられても、クロノがそんなことをするはずがない。自分が好きな少女は、フェイトのことを好きだと。それを覆すことができないから、自分の恋は報われないのだと。

 だが、噂が本当で、自分の信じてきたものが嘘だったのだと、ユーノは知ってしまった。

 彼の心が、砕かれていく。フェイトに強く抱きしめられながら、なのははボロボロと涙を流した。二人の様子を意に介さず、エイミィは言葉を続ける。

「クロノくんがいなくなったあの日、あたし見ちゃったんだぁ。クロノくんがなのはちゃんにキスしてるの……で、フェイトちゃんに思わず報告しちゃったわけ」

 エイミィの言葉に、ユーノはハッと気づく。
 エイミィの言葉が本当ならば、あの血痕の主が誰なのか。誰が、彼を殺したのか。

「正直、悪かったと思ってるんだよね。あたしが言わなきゃ、フェイトちゃんは泣かずに済んだ………こんなに苦しまずに済んだ。だからね、あたしがフェイトちゃんを守ろうって決めたの。不甲斐ない、お兄ちゃんの代わりに」


 そのお兄ちゃんも、とっくの昔にゴミ収集車にぐちゃぐちゃにされてるけど。


 彼の遺体を捨て、全てを見ていたなのはを拉致した。ミッドチルダ以外の管理世界で住居を手に入れ、そこになのはを住まわせた。彼女の心を折る方法を考え実行した。毎日なのはに会いに行くフェイトの足跡を抹消した。情報操作、捜査撹乱。
 あの手この手を使い、なのはの存在を隠し通してきた。
 必死になっているユーノに、何食わぬ顔で労わりの言葉をかけ、夫だけではなく息子まで亡くしてしまったリンディを偽った。

 ユーノには信じられなかった。だって、ユーノが知るエイミィはそんな非情なことができる女性ではなかった。クロノを隣で支え、落ち込みがちなフェイトを明るい方向へと連れて行ってやり、場を和ませてきた彼女が、どうしてそんなことができたのか。


 彼女をそんな凶行に導いたのは、他でもないクロノであった。



「あ…あ………ああああっ」

 ユーノは気付いてしまった。全てを狂わせたのはクロノと、ユーノが大切に想っているなのはだった。フェイトを狂わせ、エイミィに道を踏み外させたのは、ユーノが信じていた二人だった。
 ユーノは絶望に声をあげる。だが、それも長くは続かない。

「……今度はユーノが連れてっちゃう……なのはを、わたしから、どこかへ連れてっちゃう……」
「やめて、フェイトちゃん! やめてえええええええ!!」

 なのはの声がユーノの耳をつんざく。なのはの制止むなしく、ユーノの視界は赤く染まった。
 残ったのは血にまみれた、物理破壊設定のバルディッシュ。ユーノの血で汚れた金色は、主の狂った姿に泣いている気がした。








 彼はどこかで聞いた気がした。もうすでに、頭部と胴体が離れていたが、確かに聞いていた。
 優しくも、どこか寂しい声。正気でいるのか、狂気に墜ちたのか、判別できない――危ういラインに立った声。

「馬鹿だなあ………クロノくんは……」

 そう言って、彼女は彼の頭部を持ちあげ、抱きしめた。

「あたしが、気付かないとでも思った……?」

 なのはに惹かれいることに――――いや、二人が惹かれあっていることに。
 一番そばにいたはずの気持ちが、遠く離れていた。近くにあっても、遠い。手が届かない悲しさ。それを知らずに、せめて知らないふりをできたら、どんなに良かったことか。

「馬鹿だよね………」

 彼女は、自分の手を離した男をずっと抱きしめていた―――――。

   ◇◇◇



「うわああああああああああああ!!!」

 バサリと大きな音を立て、クロノは目覚めを迎えた。
 よく知ったベッドの感触、窓の外から聞こえるこの家特有の喧騒。どれもクロノのよく見知った現実だった。

「……ハア……ハア……ハアっ、夢………?」

 どうか夢であってほしいと思った。クロノのその想いに応えてか、彼の心臓は痛いくらいに早鐘を打つ。

 ドクドクドクドクドクドク。

 全力疾走をした後のように早まる心臓に、クロノはほっとし、息を吐いた。

「……夢だ……」
 夢でなければ、この心臓は動いていない。あたりは血まみれになってもいないし、ましてユーノの死体も、狂ってしまったフェイトもいない。その事実に、クロノは心底安堵した。

「……どんな悪夢だよ……っ」

 クロノは落ち着いて、深いため息を吐く。パジャマが寝汗で濡れて、気持ちが悪かった。
 あれだけの悪夢を見てしまった後では、仕方のないことだったが、悪夢と並んで不快であった。
 自分が不貞を働いて、殺されてしまう。更には、それにユーノが巻き込まれて、狂ったフェイトに殺されてしまう。そんな悪夢と。しかも、ご丁寧になのはと恋をして結ばれて、フェイトに殺され、そこで夢が終わるならともかく、ユーノを通してその後の世界を見続けさせれれるという大長編悪夢だ。
 夢は記憶を整理しているために起こる現象だという。けれども、クロノは勿論、なのはと恋に落ちたことはないし、狂気に走るフェイトなんて考えたことすらなかった―――狂気に走る彼女の実母なら見たことがあるが。
 ならば、夢は願望であるという説か。それもクロノは否定したい。それこそ、あり得ない話であり、心の奥底の願望が現れたなどと診断されても、クロノは首を横に振るだろう。ましてや、友人に死んでほしいだなんて思っていない。

 
 だって、自分は―――。



「はあっ……気持ち悪い……」

どうにも寝汗で濡れた身体が気持ち悪い。下着まで濡れているとは、どれだけだ。それだけの悪夢から解放され、クロノはどっと訪れる疲労感にため息を漏らした。
 折角の休日を休息に使おうと思っていたのに、これではすべて台無しだ。睡眠が、かえって疲労になっている。原因が原因なだけに、クロノは露骨に不快感を示した。

「シャワーでも、浴びるか……」

 そう言って、彼はベッドから降りた。





―――後になって、彼は後悔する。何故、自宅に誰がいるのかを確認しなかったのか。何故、脱衣所にいる人間の気配に気付けなかったのか。


 クロノはぺたぺたと足音をたて、風呂場へと歩いていった。歩くたびに、濡れた衣服が肌に触れたり擦れたりして、不快感は募っていく。
 少しでも早くシャワーを浴びたいと、彼は何も確認せずに、脱衣所のドアを開いた。
 そこで彼が見たものは、小振りな胸を覆い隠す下着。栗色の長い髪と下着と靴下のみを身に纏った――高町なのはの姿だった。

「え?」

 両者の目が見開かられる。クロノが、どうしてここになのはがいるのだろうと思うのと同時に、なのはも何故ここにクロノがいるのかと、疑問を抱く。

「きゃああああっ!!!」

 夢でも聞いたなのはの悲鳴が、クロノの耳をつんざく。当然の反応だ。魔砲少女と言っても、まだ幼い乙女だ。悲鳴をあげるのが普通の反応。
衝撃のあまり、いつまでも視線をそらせないクロノの耳に、更に衝撃が走る。

「いやあああっ!! フェイトちゃああああああん!!!」
「なっ」

 それ何て死亡フラグ。
 なのはは身体を丸めて少しでもクロノの視界から逃れようとしていた。それと同時に、叫び声をあげ、フェイトの名を呼んだ。

 まあ、恋人に助けを求めるのは割と普通のことだ。

 そう思って納得できたら、どんなにいいことだろう。クロノにとっては地獄への片道切符だ。
次の瞬間、クロノの頭部に衝撃が走る。


「クロノおおおおおおおおおおおッ!!!!!」

 ソニックフォームのバリアジャケットを身に纏ったフェイトと、物理破壊設定のザンバーフォームのバルディッシュ。その二つが、自分に迫ってきたように、クロノは錯覚した。
 だが、実際は体操着のスパッツ姿のまま、体育祭で使用したプラスティック製のバットを持ったフェイトが、野球の要領でクロノに打撃を与えただけだった。


 (あれ? 見ていないはずなのに、なのはの裸を見た記憶が……)

 仕事が休みにもかかわらず、義妹の体育祭の応援に行ってやらなかった義兄は、開いてはいけない並行世界への扉を開きかけたが―――結局はそのまま、頭部への衝撃で意識を失った。



   ◇◇◇





「あっははは! 何それっ」
「……笑わないでくれ」
「これが笑わずにいられるー?」

 アースラにおけるクロノの私室にて、女性の甲高い笑い声が響く。クロノは彼女を制止するが、笑い声は止まらない。

「だって、クロノくんがそんなグロくて、昼ドラな夢を見るなんて予想外で…ぷっ、ククククッ」
「僕だって、見たくて見たわけじゃない!」

 腹を抱えてけらけらと笑う彼女に、クロノは思わず声を荒げる。その顔は真っ赤に染まり、正直に話したことを後悔する。
 笑い声の主はクロノの恋人の――エイミィ・リミエッタであった。クロノは事故ではあるが、なのはの下着姿を見てしまったこと、そのなのはと禁断の恋に落ちてしまった夢を見てしまったことを恋人への不貞と考え、罪悪感を抱いてた。その罪悪感に耐えかね、クロノは彼女に白状した。正直、一日も耐えられなかった。
 それが、この体たらくである。

「ごめんごめん。で、なのはちゃんにはちゃんと謝ったの?」
「………フェイトが近寄らせてくれなくて、まだ謝れていない…」

 笑いを堪えるエイミィとは反対に、クロノの表情が、なのはへの罪悪感や義妹への恐怖などで暗くなる。
 なのはの叫び声とともに飛んできたフェイト。スピードブースト系魔法を使ったわけでもないのに、すぐさま飛んできた。それは愛がなせる技だが、クロノにとっては脅威だった。

 あの日、なのはとフェイトの通う中学校では、体育祭が行われていた。体育祭が無事終わった後、砂埃と汗で身体が汚れていた彼女は、フェイトの家の風呂場を借りることにした。そう、クロノはリンディを通して知った。事情を知ったリンディはクロノとフェイトの間に立ってくれようとしたが、数日経っても彼女は腹を立てたままだ。
 リンディ曰く、なのはは何事もない様子だったが、それがかえって痛々しいとのこと。リンディは早く謝ってねと軽く言ったが、フェイトという前衛がいるため、なのはに近づくことすらできない。

「あははは、じゃあ、明日以降になのはちゃんと引き合わせてあげるから、ちゃんと謝るんだよ?」
「あ、ありがとう……」

 これだから、彼女に頭が上がらない。やきもちの一つも焼いてくれないエイミィに、少々ショックを受けたが、こうやって気遣ってくれることが、クロノにとってはありがたかった。
 ほっとしたのか、クロノは彼女の身体を自分の方に引き寄せ、額にキスを落とす。

「なのはちゃんに謝ってもいないのに、普通、こういうことする?」
「……くっ…」

 限りなく裸に近い状態のなのはを見てしまった後に、自分は呑気に恋人と同衾。それに加えて、キスまでとは。反省の色が全く見られないと判断されても仕方のない状況だ。


「悪いお兄ちゃーん」
「そんな悪いお兄ちゃんを選んだのは誰だ?」
「そうだね、姉弟みたいだったのに」

 クスクスと笑い、頬にキスをするエイミィの言葉に、クロノはちょっと傷ついた。また微妙に弟扱いされた気がする。ナイーブなオトコノコの心を、彼女は理解してくれない。

「初恋から、ファーストキスまで知ってるクロノくんとこんな関係になるなんて、やっぱり変な感じだね」

 ザクリ。

 さらりと、クスクスと笑いながら、またクロノが傷つくような言葉を彼女は口にした。ファーストキスを師匠であるリーゼロッテに奪われた挙句、それをエイミィが見ていたという事実に嘆くクロノを知っているというのに―――けれども、初恋とは。


 初恋?


 クロノはエイミィの言葉に首を傾げた。自身の初恋なんて、記憶になかった。あえて言うならば、記憶に残らないくらい小さなころに母にしたのか。それとも今、自分が抱きしめているエイミィに対してではないのかと、クロノは考え込む。そんな彼の考えが顔に出ていたのか、エイミィはあっさりと答えを口に出した。


「え? なのはちゃんにでしょ?」
「は……?」

 クロノは驚きに目を見開いた。エイミィは何を言っているんだろう。困惑するクロノをよそに、エイミィは言葉を続けた。

「なのはちゃんのことを好きだったから、ユーノくんのことをいびってたんでしょうが……」

 恋敵だったしねと、彼女は笑う。まだまだエイミィの攻撃は続く。

「なのはちゃんには失礼な話だけど、夢とはいえ初恋の相手とラブラブになれて良かったね」
「なっ!!」
「な?」

 エイミィの言葉がクロノの心を抉った。彼女の言葉はクロノの心なんて無視していた。

 自分がなのはに恋をしていただと?

 いきなりの言葉に、混乱せずにはいられない。だが、反対に冷静になる自分もいるのだ。
 クロノの頭が、過去の記憶を想起する。なのはの言葉にいちいちドキリとしていたこと。もしかして優しいと言われて頬を赤く染めていたこと。そして、ユーノに対する苛立ちの正体―――たとえ、実際の恋敵が義妹であったとしても。

「……っ!!」

 クロノの中で合点がいってしまった。彼の顔は真っ赤に染まり、クロノは叫びあがりそうになる自身の口元を手で押さえた。

「ちょっと、クロノくん!?」

 どうしようもなく逃げたくなって、クロノは着替えだけと待機モードのデュランダルを引っつかみ、部屋から逃げてしまった。
 部屋に残ったのは、クロノの初恋を知っている彼の恋人だけ。後は気まずい沈黙だけだ。



「ま、まずいこと言っちゃった?」


 鈍い鈍いと思っていが、まさか自覚がなかったとは。
 エイミィは苦笑いをしながら、そっとクロノのベッドに顔を埋めた。
「……まいったなあ……」





―――この日、クロノは数年越しにして初めて、自分の終わってしまった恋心を自覚した。




   ◇◇◇



「だからって、何で僕のところに通信を入れるわけ?」
「君しかいなかったからだ……」

 無限書庫の一角で、クロノの悪夢に特別出演をはたしていたユーノは苛立たしげに口を開いた。通信の相手はクロノ。顔を真っ赤にして、慌てた様子だ。髪の毛は若干跳ねていて、寝起きのようだ。だらしがない。
 仕事の邪魔をされたユーノは、クロノの返答に更に苛立ちを募らせた。

「それで? 元恋敵である僕にそれを言うんだ」
「…ぐっ」

 ユーノは忙しなく検索魔法をかけながら、クロノを責め続ける。忙しいユーノに映像通信を繋げたクロノの話はこうだった。

 自分の初恋がなのは相手だというのは本当なのか。

 彼は真っ赤な顔をして、ユーノに聞いてきた。正直、ユーノはこの言葉を聞いた瞬間苦虫を噛みしめたような顔をした。
 知るか。温厚で優しさに定評のあるユーノにしては珍しく、そんな悪態を吐きかけた。クロノがなのはのことを好きだったとは知っているが、初恋かなんてのは知ったことではなかった。
数年前まで恋敵だと思っていた男は、その恋心に全くもって自覚がなかったのだとユーノはこの時はじめて知った。
だったら、何で自分をあれだけいびってきたのかと、ユーノは小一時間問いただしたくなる。ユーノが第97管理外世界の人間だったら、お前は小学生かとツッコんでいたところだ。はやてかヴィータあたりだったら、シュベルトクロイツ、またはグラーフアイゼンで物理的にもツッコんでいただろう。どちらも鋭角が痛い。

「で、どうして今更気付いたの?」

 ユーノの攻撃はまだ続く。ずっとユーノのターンだ。クロノは混乱のあまり、あわあわと悶えている。これでは会話が成立しないのだから、映像通信ではなくメールで連絡すれば良いものを―――そう考えるあたり、ユーノは優しかった。ただ突き離すのではなく、ちゃんと話は聞いている。
 そんなユーノに対してのクロノの返答はあまりにもアレだった。


「………エイミィに言われて……」

 うわ、最低だ。


 ユーノは口に出さなかったが、心の中で呟いた。自覚のなかった恋心を、その恋の相手ではない、今の恋人に指摘されるとか、どんだけ駄目男だ。
 クロノことだ。大方、エイミィに指摘されて、そのまま現在に至るのだろう。ユーノは現場を見てきたわけではないのに、クロノの行動を正確に当てていた。伊達に付き合いが長いわけではない。
 不器用な彼のことだ。どうせフォローなんて入れていない。恋人の無自覚の初恋を指摘する女性の心境なんて、少し考えればわかるだろうに、彼は自分のことで手いっぱいだ。

(あ、でもエイミィさんだしなあ……)

 ユーノはエイミィに少し同情したが、すぐに思いなおす。クロノとエイミィが恋人同士になったと、フェイトから嬉々として教えられた時も信じられなかった。あまりにも前触れがなく、それに加えクロノがかつて好きだった少女を知っているからこそ余計に。
 明るくて、元気で――そんなところはなのはと共通しているが、クロノをぐいぐいと引っ張っていくところや、あっけらかんとしているところは、彼女とは全然違う。ユーノは正直本当に彼らは付き合っているのかと疑うほど、エイミィは以前と変わらない態度でクロノに接しているように見える。
 以前、こうして相談めいた通信を入れられた時も、やきもち一つ焼いてくれないとクロノは呟いていた。義妹であるフェイトと、兄妹とは思えないほどイチャイチャしている様もスルー。件のなのはと仲良くしていてもスルー。仕事とはいえ、はやてと一夜を明かしてもスルー。カリムと仲良くお茶をしていていもスルー。ヴィータやシグナムと談笑していてもスルー。ユーノがクロノに対して少々同情するくらい、さっぱりしている。

 ならば、彼女に対してフォローを入れるより、本人の気持ちを整理させる方が早いように思えた。

「もう……そんなに悩むんだったら、いっそなのはに告白してくれば? そうすればすっきりするかもよ」
「なっ」
「ウザいし、仕事の邪魔。大体、僕がこんなに忙しいのは君のせいなんだから……じゃ、そういうことで」

 ブツン。

 ユーノは問題発言をして、一方的に通信を遮断した。これでやっと仕事に集中できる。クロノに頼まれた調査だというのが腹立たしいが、仕事は仕事だ。


 なのはの最大の理解者であり、彼女にいまだ恋心を抱いている少年は、別の検索魔法を発動させる。その仕事に私情が入ることも、元恋敵の悩みに動揺することなく、的確に仕事に励んだ。


「はあっ……なのはも鈍いけど、クロノがあんなに鈍かっただなんて……」


 予想外だと、彼は呟いた。





   ◇◇◇




「なのははわたしが守るからね!」
「フェイトちゃん、大丈夫だから……」
「クロノがなのはに近づこうものなら、こう、ドッカーンって!」
「もうっ、フェイトちゃんてば……クロノ君に悪気がなかったって、リンディさんから聞いたでしょ?」
「だって……」

 クロノが衝撃の事実を知った翌日。なのはとフェイトは二人並んで時空管理局本局のある通路を歩いていた。たまたまそれぞれの仕事が終わる時間だったため、待ち合わせをし、今帰路に就こうとしている。その様子は可愛らしい少女たちそのものだったが、いささかフェイトの発言は不穏である。

「わたしも、そんなに気にしてないし……フェイトちゃんが怒ってくれるのは嬉しいけど、クロノ君に怪我させちゃ駄目だよ」

 なのはは本当に気にしていないという様子で笑っている。それが他人にはかえって痛々しく見えた。まだ幼い彼女が男性に下着を見られたというのは、一般的にショックの大きいものだと思われる。なまじ世の中には児童ポルノというものがあるため、余計に周りは過敏になる。
けれども、なのは本人は本当にあまり気にしていないのだ。気にしていないという事実に、本人も少々驚いている。強がりではなく、本当に。
深く追求すると、何か開いてはいけない扉を開いてしまいそうで、なのははそれ以上考えようとはしなかった。
 フェイトはいまいち納得していない様子で、なのはは困っていた。どうしたら機嫌を直してくれるのか、どうしたら兄妹喧嘩に発展しないか。
 そんなことを考えているなのはに、映像通信が入る。

「なのはちゃん? ちょっと良い?」
「エイミィさん」

 相手はエイミィだった。彼女の姿を見た途端、フェイトがしょんぼりしだすのを、なのはは横目で見ながら、平気ですよと笑った。

「忙しいのにごめんね。良ければ、なのはちゃんに今からアースラに来てほしいんだ」
「アースラに?」
「うん。クロノくんが謝りたいんだって」

 なのはの横で、フェイトがビクリと反応するのが見えた。なのはもエイミィもフェイトの反応に苦笑いをした。

「フェイトちゃん、少しはクロノくんのこと、許してやって」
「でも……」
「本当に、わざとじゃなかったんだよ。それはお姉さんが保証する」
「あはは、すごい説得力」

 まだクロノを許せそうにないフェイトに、エイミィはフォローを入れる。わざとではないことはフェイトもわかっていた。それでも、感情がついていってないようだ。
 わざとというか、故意になのはの下着姿を覗こうとしたわけではないと、クロノの恋人であるエイミィが言う。その説得力は大きいのか、フェイトの表情は少し明るくなる。

「うん、クロノはずっとエイミィのこと好きだもんね」
「あ、あはは……フェイトちゃん、そういう恥ずかしいことは言わないで」
「そうだよぉ、クロノ君、照れちゃうよ?」
「でも、本当だよ? エイミィだって、クロノのこと好きだし……」
「フェイトちゃん、恥ずかしいからそれ以上言わないで!」

 色々な意味で姉のような女性の言葉に、フェイトは急速にいつもの表情を取り戻していく。同時に恥ずかしい言葉を吐いて。
 クロノが照れる前に、まずエイミィが少し照れていた。聞いているなのはも少し恥ずかしい。そんな二人に対して、フェイトは本当のことなのになと小さく呟いた。

「……って、話が逸れたけど、なのはちゃん。大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ?」
「OK! じゃあ、転送ポートの準備はしておくから、よろしくね!」

 元気なエイミィの声とともに、通信は途切れた。いつもと変わらぬ声、いつもの表情。それに加えて、いつもと変わらぬ言葉を口にするフェイトに、なのははほんの一瞬だけ寂しそうな表情を見せ、またいつもの顔に戻っていった。



続く
「随想録」の限定版についてきたドラマCDをやっと聞きました。


発句集の隠し場所がまるでエ□本の隠し場所の様で噴きました。トシちゃん(笑)。
平千おいしいですウマー。平ちゃんが可愛くて転がった。
乙姫姿のトシちゃん超見てええええ。

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